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Call
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何の由縁もない台湾という地に足を踏み入れたのは、旅行者が異文化に対して抱きがちな甘美なロマンからだったのかも知れない。しかしかつては日本が植民地として統治していた歴史を知るにつれ、自分の一方的なまなざしの危うさを自覚するようになっていった。
夜になると恋人たちが落ち合う植物園は日本統治時代に作られたものであったし、地元の人が集う豆花のお店はかつて遊郭だったことを後になって知る。至る所に日本時代の痕跡があったが、しかし知らない者にとってそれらは閉ざされていた。
異国で他者に出会うとき、私が見る相手と、相手が見る私の間には隔たりがある。その隔たりが何であるのか確かめるために歩き、そして撮っている。対象との間に生まれる<距離と親密さ>という、かすかだけれども確かな感覚を頼りにしながら。
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